藤野千夜『夏の約束』

夏の約束 (講談社文庫)
平成26年9月20日(土),東京都渋谷区某所で開催されたLGBT読書サロンの読書会に参加してきました。そのときの模様と課題図書である藤野千夜著『夏の約束』(講談社文庫)についての感想を述べたいと思います。

読書会の模様

今回の参加者は主催者を含めて8人で,セクシャルマイノリティ当事者が3人で,非当事者が5人という感じでした(確認したわけではありません)。主催者のティーヌさん以外は初対面の方ばかりでしたので,人見知りしてしまいました。
参加者の下に飲み物とプリン(読書会では毎回課題図書にちなんだお菓子が出ます)が配られた後,参加者が自己紹介をして,読書会がスタート。芥川賞受賞作ということで,選考理由などにも話題が及びましたが,この作品を面白いと思った参加者が少なかったため(私もそのうちの1人です),作品についての感想を語り合うという意味では低調でした。次回の読書会の案内や朗読をして,17時半には読書会自体は終了(なお,開始時刻は15時半)。
18時からは参加者全員で,FTMの方が店長をしているアジアン食堂「irodori」に移動して,懇親会。お酒も入ったこともあり,会話が弾んで楽しい懇親会でした。ちなみに,お世話になっている先輩弁護士と遭遇するという個人的なサプライズもありました。20時半ころ,数名の方と一緒に先にお暇して帰宅しました。

作品の感想

さて,次に課題図書である『夏の約束』の感想を述べます。正直なところ,あまり面白くありませんでした。読書会の約半年前に一度読んだときも,読書会の直前に再読したときも印象は変わりませんでした。
その原因は,全体的な散漫さにあると思いました。つまり,8月にキャンプに行くという夏の約束と,登場人物たちの日常描写との関係が不明なところが多く,焦点が定まっていない印象を受けました。例えば,同じアパートに住む岡野とマルオらとのやり取りは,キャンプにまったく関係がないですし。
この小説が発表された平成12年(2000年)当時に読んていたら,6人の登場人物のうち,2人がゲイで1人がトランスジェンダーという設定に新鮮味を感じたかもしれません。その当時の私はセクシュアリティに興味をもち,伏見憲明さんの本等を読み漁っていたけれど,セクシュアル・マイノリティが主人公の小説を読んだことはなかったので。しかし,設定や素材の目新しさだけでは,物足りないと言わざるを得ません。

著者プロフィール

前園 進也
前園 進也弁護士
作家であり新宿二丁目のミックスバーのママ・伏見憲明氏から多大な影響を受け、LGBTに対する法的支援をライフワークとして取り組んでいます。LGBT支援法律家ネットワーク、同性婚人権救済弁護団、「結婚の自由をすべての人に」弁護団等に所属。