パレードへようこそ

2015年5月4日に,妻とシネスイッチ銀座で観た「パレードへようこそ」のあらすじと感想を書きたいと思います。

あらすじ

舞台は,1984年ロンドン。時の首相サッチャーが発表した炭鉱閉鎖に対して,各地で炭鉱労働者のストライキが打たれていた。テレビ報道でそれを知ったゲイのマークは,仲間たちを誘って,炭鉱夫を支援するためにLGSM(Lesbians and Gays Support the Miners 炭鉱夫を支援するレズビアンとゲイのグループ)を結成し,彼らはバケツをもって募金活動を始める。彼らの募金を受け取る炭鉱労働組合が見つからなかったため,彼らは直接炭鉱町に連絡をして,寄付を申し入れることにした。実話に基づいて,セクシュアル・マイノリティと炭鉱労働者の連帯を描く感動作。

感想

映画自体は申し分なく面白いので,セクシュアリティに興味がある人であれば楽しめると思います。
私は,LGBT支援法律家ネットワークの有志として,日本において同性婚が認められていないことが人権侵害であるとして,日弁連の人権救済を申し立てる活動に関与しています。日本における同性婚が実現するためには,最終的には法制化が不可欠です。そのためには,同性婚の法制化を望む声が,セクシュアル・マイノリティだけではなく,非当事者からもあがる必要があると思います。このような関心から,この映画を観ると,LGSMと炭鉱夫がなぜ連帯できたのかという点に興味を覚えます。
マークの思いつきから始まった炭鉱夫への募金活動が,最終的には,全国炭鉱労働組合のセクシュアル・マイノリティに対する支援・支持という結果に結びついたのは,返報性の原理が大きく影響していると思う(返報性の原理とは,人が他人から金銭や厚意などの提供を受けたときに,お返しをしなければならないと感じる心理を言います)。もっとも,映画では,ウェールズの炭坑町ディライスの住民だけではなく,全国炭鉱労働組合までがセクシュアル・マイノリティに対して支援・支持をするようになった経緯は描かれていませんが。
マイノリティの社会運動において,マジョリティや他のマイノリティを巻き込むためには,「理」だけではなく「利」も重要であることを,この映画は教えてくれるように思います。

著者プロフィール

前園 進也
前園 進也弁護士
作家であり新宿二丁目のミックスバーのママ・伏見憲明氏から多大な影響を受け、LGBTに対する法的支援をライフワークとして取り組んでいます。LGBT支援法律家ネットワーク、同性婚人権救済弁護団、「結婚の自由をすべての人に」弁護団等に所属。